新しく、ノババックス製の新型コロナワクチンを日本が契約したということは皆さんご存知でしょうか?実はノババックス社製のワクチンはこれまでのファイザー社のワクチンともモデルナ社のワクチンともアストラゼネカ社のワクチンともちがう、新しいタイプのワクチンなのです。一体どんなワクチンなのでしょうか。今回はそんな新しいワクチンであるノババックス社製の新型コロナワクチンについて解説します。また、まだまだ感染者数の多い新型コロナですが、新型コロナの重症化を未然に防ぐ抗体カクテル療法についても解説します。
ノババックス社とは?
ノババックス社(Novavax, Inc.)はアメリカのメリーランド州にある臨床段階のバイオ医薬品会社です。組み換えナノ粒子ワクチン及びアジュバントの発見・開発・商業化に焦点をあてています。また、同社は組み換えワクチンセグメントの開発を通じて事業をおこなっており、既知疾患及び新興疾患に対応するワクチン候補物質を製造しています。
今回のノババックス社製ワクチンの特徴とは

ノババックス社製ワクチンの大きな特徴は組み換えたんぱくワクチンと呼ばれる種類のワクチンであるということではないでしょうか。接種回数はファイザー社やモデルナ社のワクチンなどと同様に2回接種が必要です。
治験では変異ウイルスを含めた感染予防に90.4%の有効性が、中程度~重度の症状を防ぐ効果は100%だったと発表しています。かなり効果が期待できるワクチンであると考えられ、安全性も高く、副反応は少ないとみられています。また、武田薬品による国内生産のため、安定確保ができ保存温度も2~8度で流通管理がしやすいということも特徴です。
組み換えたんぱくワクチンとは
新型コロナのウイルス表面にあるスパイクたんぱくだけを合成したものを接種して、免疫のしくみを刺激し、本当の感染に備えるという仕組みです。
B型肝炎ワクチンや子宮頸がんワクチンで現在実用化されているタイプのワクチンです。海外では季節性インフルエンザワクチンで使われているところもあるそうです。
ノババックス社製ワクチンとこれまでのワクチンのちがいまとめ

ノババックス社製のワクチンについても筋肉注射であるという点については他のワクチンと同じです。また、2回の接種が必要であるという点についても同じです。接種対象年齢についてはまだ決まっていないので現状不明です。
ワクチンの種類が他のワクチンとの大きなちがいだと言えます。
ノババックス社製ワクチンの副反応は?

モデルナ製のワクチンもファイザー製のワクチンも副反応が強いことは大きな問題でした。
すでに接種をされた方は経験されたかもしれませんが、特に2回目接種後の副反応は強烈です。(個人差はあります)順天堂大学などの調査によると2回接種後の副反応で接種部位の痛みを感じる人はファイザー、モデルナともに90%近い数字を示しています。モデルナ製のワクチンのほうが全身性の副反応は出やすいようで37.5度以上の発熱があった人は約78%、倦怠感があった人は86.1%、ファイザー社のワクチンでは37.5度以上の発熱があった人は約38.1%、倦怠感は68.9%という結果が出ています。若年者や女性のほうが副反応が出やすいなどといったデータも報告されています。
私自身もファイザー製のワクチンを接種しましたが2回目接種から12時間くらい経過したあたりから発熱し、38度以上まであがり、しんどい思いをしました。もう一度接種しなければならないと言われたら迷ってしまうレベルで辛かったです。
ノババックス製のワクチンの副反応としてこれまでのワクチンと同じような症状が出ることがあります。ただ、注目すべきなのはその割合で、倦怠感は2回目接種で4割程度、発熱は2回目接種で約4%とかなり少ないと報告されています。
副反応の出現率が低いのは私たちからすると非常にうれしいですよね。これなら3回目接種もできるかもしれないなと個人的に思いました。
ノババックス製ワクチンについてまとめ
・組み換えたんぱくワクチンである
・感染予防は約90%、重症化予防については100%の有効性が確認されている
・全身性の副反応が出にくい
・武田薬品によって国内製造も開始する
まだまだノババックス製ワクチンについては情報が少ないため、今後も要チェックです。
抗体カクテル療法とは?

抗体カクテル療法とは、治療薬を投与して新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを低減する治療法です。治療対象は、重症者以外で重症化リスクを有する人です。新型コロナウイルスに結合する2種類の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法・中和抗体薬と言われています。
抗体カクテル療法は現在は都立・公社病院や民間病院、一部の宿泊療養施設、酸素ステーションにおいて必要な患者に対しておこなっています。
抗体カクテル療法の特徴
これまでは重症化した人に対する治療がほとんどでしたが、抗体カクテル療法については重症化リスクのある軽症の患者さんに対して重症化を防ぐことを目的とした治療ということは大きな特徴です。点滴投与し、投与後に副作用が生じないか一定時間経過観察をおこないます。
抗体カクテル療法の対象者

新型コロナウイルス感染症の重症化につながるリスク因子があり、酸素投与を必要としない軽症レベルで、発症から7日以内の方が対象となります。対象者全員が抗体カクテル療法をおこなうわけではなく、医師が3つの条件を含め、患者さんの状況を総合的に判断して治療の可否を決定します。
抗体カクテル療法のとりくみ
東京都で現在、抗体カクテル療法をおこなっている施設は下記です。
宿泊療養施設:品川プリンスホテル イーストタワー
酸素・医療提供ステーション:都民の城
東京都は抗体カクテル療法の対象となる患者を早期に確実に治療につなげるための体制について現在検討しています。

抗体カクテル療法の効果は?
都立病院などで新型コロナウイルスの軽症・中等症患者向けの新薬・ロナプリーブを用いた抗体カクテル療法を受けた患者さんの約8割に症状の回復などの効果が出たと報告されています。2021年9月1日までに都立病院や都保健医療公社が運営する病院で抗体カクテル療法を受けた102人のうち、解熱したり、酸素投与が必要なくなったりするなどの症状が回復・安定した患者さんが82人でした。その他の患者さんについても症状はあるものの重症化したり死亡したりした人はいませんでした。
抗体カクテル療法は期待できる治療方法だといえそうですね。
抗体カクテル療法まとめ
・対象となるのは軽症者で重症化するリスクがあり発症から7日以内の方
・現在抗体カクテル療法は、都立・公社病院や民間病院のほか、一部の宿泊施設・酸素・利用提供ステーションのみ
・容体悪化時に緊急入院できる医療機関などに限り外来診療でも投与できるようになる
・効果は約80%
さいごに
新型コロナウイルスの情報は日々アップデートされますので、常に正しい最新情報を入手することが大切だと思います。一時期と比較すると感染者数は大幅に減少しましたがまだまだ感染者数は多い状況で、市中病院や大学病院に勤めている人からは”医療崩壊”という言葉も耳にします。
コロナ重症者も入院できないという状況ではありますが、他の疾病で入院したり手術をしなければいけないような人がなかなか医療を受けられないというような状況にもなってきているようです。
コロナの感染対策も大切ですが、それ以外の疾病にかからないようにすることも今の状況ですと大変重要になってくるかと思いますので、コロナ対策に加え、食生活や運動習慣、規則正しい生活習慣など、この機会にきちんと整えなければいけないなと私自身、感じています。
【参考】
REUTERS
2021年6月15日 日本経済新聞
一般社団法人日本がん治療学会
2021年6月12日 朝日新聞デジタル
東京都福祉保健局
2021年9月4日 公明党