健康診断の項目には血液検査が含まれています。結果表をみたときにたくさんの項目が並んでいると思いますが、それが何を調べているのかわかる人は少ないのではないでしょうか?
実は血液検査をすることで調べられる内容は意外と多いのです。
今回は基本の血液検査でどんなことがわかるのかお伝えしたいと思います。
血液の作用って?

血液はひとの体中を流れている液体です。みなさんももちろん目にしたことがありますよね。血液は心臓の収縮によって送り出され、動脈を通って全身の組織に酸素や栄養素などの必要な成分を届ける役割を担っています。そして、不要となった二酸化炭素や老廃物などを回収して静脈に集まり、再度心臓にもどっていきます。そして、静脈から心臓に戻ってきた血液は肺に送られて二酸化炭素を排出し、酸素を取り込んでから心臓に戻り、また全身をめぐります。これを血液の循環といいます。
ひとの体を構成する細胞を常に元気な状態に保っているのは血液のはたらきのおかげなのです。
血液の成分って?
血液は体重の約8%といわれています。約40%を占める血球(赤血球、白血球、血小板)と約60%を占める血漿から成っています。全血液量の1/3を失うと生命に危険が及ぶといわれています。成人の血液は、頭がい骨、胸骨、椎骨、骨盤等の骨髄でつくられています。
項目別わかること
血液学
赤血球や白血球の数や形など、細胞の状態を調べる検査です。検査結果から主に貧血や白血病、心筋梗塞、甲状腺機能低下症といった疾患が推測されます。
脂質代謝
脂質検査で基準値を超えている場合には、脂質異常症の可能性があります。脂質異常症になっていても自覚症状はありません。しかしながら、放置すると様々な生活習慣病を引き起こす原因になります。摂取カロリーが多かったり、運動不足であったり、動物性脂肪を多く含む食品を摂取することで脂質異常が起こることが多いです。
糖代謝
糖尿病は膵臓でつくられるインスリンの働きの低下や分泌量の減少に伴い、体内の糖代謝がうまくいかなくなることで血糖値が高くなってしまう病気です。
国民の7人に1人が糖尿病もしくは糖尿病予備軍といわれています。糖尿病には2種類あり、先天的原因でインスリンが分泌されない1型糖尿病と生活習慣等の後天的原因でインスリンの分泌が悪くなる2型糖尿病があります。
肝機能
肝臓は体内で大変重要な役割を担っています。また、沈黙の臓器といわれていますが、血液検査の結果では不調はあきらかです。症状が出て異変に気づいたあとではなかなかもとに戻らないことが多いので血液検査の結果が異常値の場合、はやめに治療を行うことが必要です。
膵臓
アミラーゼは、でんぷんを分解する消化酵素のひとつで、唾液と、膵臓から分泌される膵液に含まれています。臓器に破壊や炎症が起こると異常値を示します。急性膵炎、慢性膵炎、膵がんなどがあると上昇します。
尿酸
新陳代謝に伴い、古い細胞が分解してできる老廃物を尿酸といいます。また、みなさんご存知のとおりプリン体も体内で吸収されると体内で尿酸になり、血液中に増加していきます。尿酸が高値になると関節に沈着して炎症を起こし、通常、足の親指の付け根の関節に激痛と発赤を起こす痛風発作がみられ、徐々に腎臓に沈着して腎障害を起こします。
腎機能
腎臓は老廃物や体に有害なものや不要なものなどを濾過し、それを尿として排泄する重要な臓器です。腎臓病はかなり進行するまで自覚症状があまりないことが多いので健診で発見されることがほとんどです。尿検査も腎機能の検査です。
肝臓や腎臓など病気が進行するまでなかなか症状が出ない病気も多いため、血液検査を行い体の状態を確認することは非常に重要なことです。
また、検査項目が一体何を表しているのか自分で理解することも大事ですね。
わからないことがあれば医療機関を受診して医師に相談しましょう。
血液検査の結果が悪ければそのまま放置せずに必ず医療機関を受診して精密検査や再検査を受け、できるだけはやいうちに治療することも大変重要です。
生活習慣の改善で数値は良くなる?

脂質異常症の場合
脂質異常症の治療は生活習慣の改善が根幹であり、運動療法として中強度以上の有酸素運動を中心に定期的に(毎日合計30分以上を目標に)行うことが推奨されており、運動療法を行うことで血中脂質の改善効果が得られ、脂質異常症を改善すると言われています。
・禁煙
・食事管理(バランス良い食事、飽和脂肪酸・コレステロール摂取の制限、食物繊維の摂取、食塩の制限)
・体重管理(BMI25以上であれば減量)
・運動、身体活動量(有酸素運動)
・飲酒制限
( 日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版. 2018.)
といった内容も脂質異常症のための生活習慣改善において重要であると挙げられています。
糖尿病の場合
運動療法を行うことで血糖のコントロールやインスリン抵抗性、脂質代謝の改善などができ、糖尿病の改善につながると言われています。
・食事療法と運動療法を励行し、血糖値をコントロールする。また、肥満を解消する
・血圧や脂質代謝の管理を行う
(一般社団法人 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019 http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-02.pdf)
適度な運動に加え、食生活の改善を行うことが重要だとされています。
こういった”生活習慣病”といえる内容に関しては食生活の改善や運動習慣をつけることで数値が改善すると言われています。
自分でどのような生活改善をすれば良いのかわからないという人は保健師さんに相談するのも良いかもしれません。
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さいごに
基本的な血液検査の結果が何を表しているのか理解できましたか?自覚症状がなくても生活習慣病などの病気が進行しているケースもあり、血液検査をして初めてわかることもたくさんあるので、定期的に健康診断を受診し血液検査を受け、結果を確認することは大切だと思います。
私も毎回血液検査の結果は確認し、もし数値が悪くなっていれば生活習慣の改善に努めるようにしています。
必ず血液検査の結果が悪ければ、生活習慣改善と医療機関に受診して相談することをおすすめします。
そうすることで、生活習慣病を起因としたがんや脳卒中、心疾患などに罹患することを予防できる可能性があるのです。