年に1度の健康診断や人間ドック。
胃の検査は内視鏡(胃カメラ)にしようかなあ、胃部X線検査(バリウム)にしようかなあと悩まれる方は多いと思います。
実は、多くの医師がバリウムより内視鏡を推奨しています。今回は、医師監修の上で私が内視鏡を受けた際の体験記を交えながら内視鏡検査をおすすめする理由を紹介します。
胃の内視鏡検査ってどんな検査?

内視鏡検査とは
胃の内視鏡検査は胃カメラ検査とも呼ばれ、医師が直接施行する検査です。文字どおり胃の中をカメラで撮影して異常がないか観察する検査です。また、胃だけでなく上部消化管を観察することができ、食道、十二指腸も観察が可能です。口または鼻から小さなカメラを挿入します。検査時間は約10分ほどです。
内視鏡検査の特徴
内視鏡検査の場合、食道や胃、十二指腸などを直接観察できるため、色の変化やわずかな粘膜の隆起や凹みのちがいなどを確認することができます。また、症状を直接医師に相談することもできます。
特に、早期の胃がんの場合だと、病変部の凹みや隆起などがわずかな場合が多いため、内視鏡で観察することで早期発見に繋がります。
また内視鏡検査の大きなポイントはがんを疑う病変があった場合にそのまま組織を一部採取することができることです。採取した組織を病理診断することでがんかどうかの確定診断を行うことができます。
バリウム検査ってどんな検査?

バリウム検査とは
バリウム検査とは胃透視検査のことです。バリウムを飲み、検査台の上で体を上下左右に動かすことで飲んだバリウム(造影剤)を胃の中に薄く広げ、胃の形や表面の様子をレントゲンによって観察する検査です。
バリウム検査の特徴
バリウム検査は胃の形を見るには有用ですが、わずかな凹凸や色の変化などは判別しにくいことが難点です。そのため、粘膜下層まで進行したがんであれば発見することが可能ですが、早期のがんの発見には適していません。
また、バリウム検査でもし胃がんを疑う所見があった場合、内視鏡検査で二次検査を行う必要があります。
内視鏡はもうつらくない!

「内視鏡検査はつらい」という感想を聞いたことがある人やそんなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
たしかに昔はカメラやレンズを内蔵している管も太いため、非常につらい検査でした。
しかしながら最近では管が細いものが出てきており、経口でなく経鼻での内視鏡検査も可能です。管が細いことで苦痛も少なく、また不快な吐き気も経鼻での内視鏡検査を行うことで感じることはなくなります。
現在の内視鏡検査はそこまで苦痛を伴う検査ではなくなってきています。
それでもつらさを感じてしまったり、不安な方は鎮静下での内視鏡検査という方法もあります!
鎮静(静脈麻酔)下での内視鏡検査の場合、個人差はありますがうとうとしたような状態で内視鏡検査を受けることができるのでつらさを感じることはほとんどない場合が多いです。内視鏡検査の最中の記憶が全然ない人もいます。
ただ、鎮静剤を使用した内視鏡検査後はベッドに横になって少し休憩する時間が必要なため、通常より時間がかかってしまうことや、当日は車の運転ができないなどの制限があるのでそこは注意が必要です。
えあざむの内視鏡検査体験記

実は私は胃痛を感じることが非常に多く、同年代の人よりは内視鏡検査の経験が多いです。そんな私が実際に内視鏡検査を初めて受けたときの感想です。
内視鏡は絶対イヤ!
実は親からも”胃カメラはめっちゃつらい”と聞いていたので胃痛で診察を受けた時に初めて”内視鏡検査をやりましょう”と言われたときは”絶対イヤ!やりたくないです!”と恥ずかしながら拒否しました(笑)
鎮静剤を使用してやれば意外と楽らしい
でもずっと胃痛は継続するし、周囲でも同年代で胃潰瘍の子がいたりして不安な気持ちが継続した私。
経験者の話を聞いたりした結果、”鎮静剤を使用して内視鏡検査を受ければ意外と楽らしい”という結論に至り、意を決してその週の土曜日に鎮静下での内視鏡検査の予約を取りました。
前日は問診表と同意書を記入し、念のため21時までに軽めの食事を済ませ、早めに睡眠に入りました。当日も何も食事を摂らず、のどの渇きを潤すため少量の水を摂取。ドキドキしながらクリニックへ行って検査着に着替えて待っているとナースさんが、問診や検査の前の説明と胃の中を綺麗にするお薬を持って来てくれました。ナースさんの優しい笑顔と声掛けで緊張が和らいだことをめちゃくちゃ覚えています。

検査中のことほとんど覚えてません
そしてとうとう検査室へ。鎮静下での内視鏡検査なので喉の奥に麻酔スプレーをしてもらって腕に麻酔用の針を刺して待機。ここでもナースさんが優しく、癒されました。ただ、麻酔スプレーが正直まずくてつらかったです。麻酔スプレーで喉の感覚が薄れていき、ちょっと恥ずかしいけど唾液は全部出してくださいとのことで全部飲みこまず出していました。
そして先生が入室され、腕に刺した針から麻酔薬を注入され、少しずつ意識が薄れていきました!!検査中は苦しさは全然感じませんでした。先生の話が少し耳に入ってきましたが夢の中でぼんやりしているような感覚で、気づいたら検査が終わっていました。そのまま休憩用のベッドまでナースさんと歩いていきました。(通常、車椅子での移動ですが、歩けそうだったので歩かせてもらいました)そのまま30分ほどベッドで休んでから、診察室で先生の結果説明を受けました。
もっと早くやっておけばよかった

軽度の表層性胃炎とびらん性胃炎という所見がありました。念のため血液検査でピロリ菌もチェックすることに。(後日結果が出て陰性でした)その日、お酒は念のため控えましたがいつもどおりの生活を送りました。
個人差はあると思いますが、鎮静下での内視鏡検査は本当に苦痛を感じませんでした!こんなことならもっと前から検査を受けていればよかったと思いました。
検査を受けても自分の症状の原因がわからない場合もありますが、それでもやっぱり検査を受けることで気持ち的にもすっきりしますし、適切なお薬を処方してもらえるので症状のある人は検査を受けることをお勧めします!
PS…いつか鎮静剤を使用せずに内視鏡検査を受けてみたいです。。。
どんな人が内視鏡検査を受けたほうが良いの?
胃痛や胃もたれ、胸やけ、のどの違和感といった症状がある人は内視鏡検査を受けて直接粘膜の状態を見てみることをお勧めします。
また、ピロリ菌を除菌後の人も年に1回は内視鏡検査を受けて胃の状態を観察することが推奨されています。がんのリスクが上がってくる40歳以上の人も年に1回は内視鏡検査を受けたいですね。
ピロリ菌の除菌には内視鏡検査が必要?!
ピロリ菌という胃炎や胃がんの原因となる菌は除菌することができるので、胃炎や胃がんを予防するためにも若いうちに除菌することが推奨されています。
ピロリ菌の除菌を保険適用で実施するためにはピロリ抗体検査や尿素呼気試験などのピロリ菌の有無を調べる検査に加えて内視鏡検査が必要なのです。
ピロリ抗体や尿素呼気試験でピロリ菌が陽性かつ内視鏡検査で慢性胃炎が認められた場合に保険適用でのピロリ菌除菌が可能です。
胃が痛いけど内視鏡をすれば原因がわかるの?
前述のとおり、内視鏡検査は直接カメラで胃、食道、十二指腸の様子を観察できるため、病気の診断に大変有用です。

では、胃が痛いなあと思って病院を受診し、内視鏡検査を受けたからといって絶対に内視鏡検査で異常が見つかるかというとそれは”NO”です。
何か胃の症状がある方は内視鏡検査を受けるべきですが、症状があっても必ずしも内視鏡検査で異常が見つかるわけではありません。
症状は、ストレスや食道や胃の運動機能の異常、内臓の知覚過敏など様々な要因が関係していると考えられています。
また、自分では胃が痛いと思っていても実は胆道や膵臓などの他の臓器に異常がある場合もあります。胃の近くには他にも多くの臓器が存在するからなのです。
医療機関を受診し、症状をきちんと伝えることで超音波検査やMRI検査などを受けることになる場合もあります。
先生からのコメント
内視鏡検査は医師が直接施行する検査で、症状をその場で相談することもできます。臓器別にみるか総合的に診察するかにもよりますが、画像検査としては全身CT検査で網羅することはできます。組織検査や遺伝子検査はより詳細な検査です。
内視鏡検査は有用な検査ではありますが、もちろん限界もあります。体管腔の粘膜側からのアプローチが難しい場合は腹腔鏡、超音波内視鏡という機器を使用することもあります。また、費用対効果を考えると対策型検診にバリウム検査を導入しているところが多く、内視鏡検査を人間ドックのオプション検査としているところは増えてきています。
●●この記事を監修した医師●●
MYメディカルクリニック
栢木真太郎先生
医学博士
浜松医科大学医学部医学科卒業
東京大学医学部附属病院などを経てMYメディカルクリニックにて主に消化器を専門にして勤務中。
さいごに

内視鏡検査とバリウム検査の違いを下記にまとめました。総合的に考えるとやはり内視鏡検査を受けることを筆者はお勧めします。
筆者は20代ですが年1回の健康診断時には必ず内視鏡検査を受けます。
胃痛が多いという理由もありますが、やはりバリウム検査で異常があった場合、結局内視鏡検査を受けることになるということが大きな要因です。
また、バリウム検査の画像は影でしかなく、わかりにくいので内視鏡検査でしっかり観察してもらっています。
内視鏡検査のデメリットはやはり苦痛を伴うことがあることだと思いますが、体験記にもあるように鎮静下での内視鏡検査を選択し、苦痛を感じることなく内視鏡検査を受けることができています。
年に一度の健康診断なので自分の体としっかり向き合うために詳細な検査を受けませんか?
えあざむが内視鏡検査を受けたおすすめクリニック
医療機関名 | MYメディカルクリニック |
電話番号 | 03-4579-9011 |
ホームページ | https://mymc.jp/ |

私は麻酔が効きづらいのですが、薬剤の量を調節してくれたので麻酔がきちんと効いた状態で検査を受けることができました。
ナースさんの優しい笑顔や声掛け、先生も優しく丁寧だったので安心して検査できました。みなさんにすごくおすすめしたいクリニックです。
渋谷駅から徒歩3分という抜群の立地と土日も開院している利便性、落ち着いた院内の雰囲気も魅力です。
【参考】
一般社団法人消化器内視鏡学会