渡航前に接種しておきたい│狂犬病ワクチン

狂犬病は名前の通り非常にこわい病気です。聞いたことがある方も多いかもしれませんね。きちんとワクチンを接種しておけば予防できる病気なので海外渡航前には特に接種しておきたいワクチンです。
今回はそんな狂犬病の予防接種についてご紹介します。

狂犬病ってどんな病気?

狂犬病は人を含め、ほとんどの哺乳類に対して致死性の脳炎を発生させる紀元前から知られたウイルス性人獣共通感染症(動物由来感染症)です。

日本やオーストラリア、ニュージーランド、北ヨーロッパなどを除いた世界中のほとんどの地域で発生しています。

狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からウイルスが侵入したり、濃厚なウイルスが気道粘膜に感染することによって発症します。

通常は、人から人に感染することはなく、感染者から感染が拡がることはありません。
しかしながら、発病すると治療方法がないため、脳炎症状を呈し、最終的には昏睡から呼吸停止で死亡します。発症するとほぼ100%死亡する非常に危険な病気です。

狂犬病ってどんな症状?

では、狂犬病の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
下図をご覧いただくとわかるとおり通常の病気では考えられないような症状が人間にも現れます。

厚生労働省 狂犬病とは より一部改変 

人間に感染した場合

約1~3カ月間の潜伏期間の後、症状を呈します。最初は発熱や食欲不振、咬まれた部分の痛みや痒みなどの症状です。

その後、急性神経症状期に移行します。そうすると、不安感や水をこわがったり、風をこわがったり、幻覚や精神錯乱などの神経症状が現れてきます。物事に大変に敏感になると言えます。

そうして、呼吸障害によりほぼ100%が死亡してしまうという恐ろしい病気です。

急性神経症状期に現れる、水をこわがる症状は、水を飲む際にその刺激で咽喉頭や全身の痙縮が起こり、それが苦痛で水が飲めないことから「恐水症」とも言います。

犬に感染した場合

約2週間~2カ月間の潜伏期間がありその後、症状が現れてきます。最初は性格の変化や行動の異常などです。

その後、狂躁期や麻痺期という段階に入ります。
狂躁期とは、目に入るものを咬んだりする興奮状態や光や音などの突然の刺激に非常に敏感になっているような状態です。

麻痺期とは、全身の麻痺症状により歩行困難になったり、下顎が下垂したり嚥下が困難になったり、よだれを垂らしたりという状態です。写真などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
麻痺期の後にヒトと同じように昏睡状態になり死亡します。

もし動物に咬まれたらどうしたら良いの?

ここまで読んで、狂犬病ってめちゃくちゃこわいな!と思った方が多いと思います。

そして、動物に咬まれたらどうすれば良いの?もうあとは死を待つしかないの?と不安に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。


動物に咬まれた場合、
まず傷口を流水と石鹸でよく洗い流します。
そして、すぐに医療機関を受診してください。
医療機関にて複数回狂犬病ワクチンを接種することで発症を予防することが可能です。

狂犬病ワクチンってどんなもの?

先述のとおり、動物に咬まれても傷口をきちんと洗い流し、すぐに狂犬病ワクチンを接種すれば発症を予防できるとのことでしたが、さて、狂犬病ワクチンとはどんなワクチンなのでしょうか。

暴露前接種と暴露後接種

狂犬病ワクチンの接種方法には2種類あります。
暴露前接種と先ほどのような暴露後接種の2種類です。

暴露前接種・・・流行地域で動物に接触する機会がある渡航者に推奨している接種です。渡航前の接種ということです。特に、暴露後接種を速やかに受けられる医療機関がないような地域に滞在する場合は、暴露前接種が強く推奨されています。
暴露後接種・・・実際に狂犬病発生地域で犬などに咬まれて狂犬病に感染した可能性がある場合に、発症を予防するためワクチンを接種することです。犬やコウモリ等に咬まれた場合は、できるだけ早く接種を開始する必要があります。

接種後の副反応

狂犬病ワクチン接種後の副反応は、発熱や局所の発赤、腫脹、疼痛などの一般的な副反応が認められます。
また、ワクチンに含まれるゼラチンに対してショックやアナフィラキシーのような症状が出現することもあるので十分に医師の問診や接種後の観察を受けられると安心です。

狂犬病ワクチンの接種スケジュールは?

暴露前接種の場合

日本の組織培養不活化狂犬病ワクチンでは、初回接種日を0日として2回目を4週、3回目を6~12ヶ月に接種します。小児の場合でも成人と同量を接種します。

暴露後接種の場合

暴露前接種を受けていない場合は、日本の組織培養不活化狂犬病ワクチンで、初回を0日として、0、3、7、14、30、90日の計6回接種します。
暴露前接種が完了している人が、動物に咬まれた場合は、暴露後接種として0日、3日の計2回の追加接種を行うことが推奨されています。

動物に触れたり、餌をやったり、傷のない皮膚をなめられた程度の場合は、暴露後接種の必要はありません。ただ、皮膚を直接軽く咬まれたり、出血はしなくても皮膚に擦り傷ができた場合は暴露後接種が推奨されています。

狂犬病についてのQ&A

Q. 国内で犬に咬まれました。狂犬病になりますか?

A. 国内では狂犬病は発生していないので感染の心配はありません。
東南アジアを中心とした海外で野生動物に咬まれた場合は、傷口を流水と石鹸でよく洗い流し、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

Q. 海外で犬に咬まれて、受診しないまま帰国しました。そのまま放置していても大丈夫ですか?

A. 狂犬病感染の可能性がある場合には早急に狂犬病ワクチンを接種する必要があります。最寄りの保健所や医療機関にご相談ください。

Q. 狂犬病が流行している国に渡航します。ワクチン接種以外に気を付けることはありますか?

A. 動物にむやみに近づくことはしないようにしましょう。
万一咬まれてしまった場合には、早急に現地の医療機関を受診し、ワクチンを接種しましょう。帰国時には検疫所に相談しましょう。

狂犬病ワクチンを打とう!

狂犬病は発症するとほぼ100%死亡する大変恐ろしい病気です。国内での感染症例は人、動物を含め1957年以降報告されていませんが、世界各地で流行していることに変わりはありません。フィリピンで犬に咬まれたことにより感染した輸入症例は近年も報告されています。
海外渡航の機会が増えた現代、ぜひ狂犬病ワクチンを接種してから渡航しましょう。また、もし海外で動物に咬まれた場合の対応も心得ておきたいですね。

接種可能な医療機関~MYメディカルクリニック~

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【参考】
厚生労働省 関西空港検疫所 狂犬病
国立感染症研究所 狂犬病とは
厚生労働省 狂犬病
国立国際医療研究センター病院 狂犬病の予防について
トラベルクリニック 海外渡航者の診療指針 医学書院 濱田篤郎 編集

この記事を書いた人

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えあざむ

渋谷で働く25歳。美容と健康に興味あり!みなさまに正しい情報をお伝えするために日々情報収集しています。 胃痛持ちで内視鏡検査の常連。血液検査が苦手。医療脱毛の痛みは耐えられます!